【「DOES」とは】「HSP=繊細さん」に共通する4つの特徴。

ここ数年、「繊細さん」という言葉をよく聞くようになりました。

 

「繊細さん」=「HSP」。ふとしたきっかけからHSPについて調べてみると、私の取扱説明書かと思うほど当てはまる特徴の多いこと。同時に、ずっと胸につかえていた、いくつもの小さな疑問の答えを見つけた気分でした。

きっと私と同じ思いを抱いている人が他にもいるはず。あるいは身の回りに「この人、繊細さんなのかな」と感じる人がいるかもしれません。

 

HSPについて知ることで、皆さんの「生きにくさ」「生きづらさ」が少しでも解消しますように。皆さんの生きやすさに少しでも貢献できますように。

 

HSPとは

HSP(Highly Sensitive Person:非常に感受性の高い人々)

HSP(Highly Sensitive Person)はエレイン・アーロン博士が1991年から研究を始めたものです。子どもの場合はHSC(Highly Sensitive Child)。

 

感受性が高くて、傷つきやすい特徴があります。わかりやすいように、日本では「繊細さん」と例えた呼び名が普及しています。

HSPは先天的な気質です。病気や障がいではないため、医師によって診断されたり、治療が必要になったりするものではありません。

 

HSPは大きく、4つのタイプに分けられます。

最も典型的で数が多いのは、内向的な「HSP」です。

外向的で人との関係を重視する人は「HSE」と呼ばれています。

内向的ですが刺激に対してポジティブ(刺激を求める)な場合は「HSS型HSP」。

同じく刺激に対してポジティブで外向的な場合は「HSS型HSE」と分けられます。

 

 

5人に1人が有する気質

HSPは人口の15~20%(5人に1人)が当てはまる気質です。人間だけでなく動物や昆虫に至るまで、100以上の種で存在を確認されています。種が生き残るために、生存本能に基づいた危機回避の役割を持つ、といわれているのがHSPです。

HSPは先天的(生まれつき)な気質であって、後天的な性格とは違います。

気質は、変えることができません。正義感の強さや自己否定、ネガティブ思考など、HSPが陥りやすい自動思考(考え方のクセ)の傾向は、変えていくことができるでしょう。

しかしHSPという気質自体を変えることはできません。「甘え」や「気持ちの問題」という人がいるかもしれませんが、それはその人がHSPについて知らないだけなのです。

 

HSPという気質は変えることができません。気質を変えようとするのではなく、環境を変えるように考えてみましょう。そのためには、私たち自身がHSPについて知り、周囲の理解を得られるようにする必要があるのです。

 

HSPは「DOES」という4つの特徴をもつ

HSPには4つの共通する特徴があります。それぞれの頭文字をとって「DOES」と呼ばれていますが、すべてに当てはまる場合、HSPの可能性があるといえます。

 

D(Depth of processing:思考を深く処理する)

「D」は「思考処理の深さ」を表す、「Depth of processing」の頭文字です。

日常生活や仕事などのあらゆる場面で、物事を決めて行動に移すまで時間がかかりませんか?物事を決めるのに時間がかかるのは、原因や理由、行動に移した場合の結果やリスクなど、考えられ得る様々なことを考えてしまうからです。

これはマイナス面としてみれば「優柔不断」ととれます。買い物でも外食でも、コストパフォーマンスや本当にそれが必要なのか、他にもっと良いものは無いかなど、色々なことを考えてしまいます。決定に時間がかかってしまい、私も妻から「優柔不断だ」といわれることが多いです。

しかし考えの深さは、リスクを回避するために「慎重」であるともとらえられます。物事を深く考え、できる限りリスクを避けた行動へとつなげることができるのです。「急がば回れ」を地で行くことで、決定までに時間がかかっても、結果的に無駄な時間や労力を省くことができます。

 

O(Overstimulation:刺激に敏感で疲れやすい)

「O」は「刺激への感受性の高さ」を表しています。「Overstimulation」の頭文字です。

HSPは目にしたり耳に入ったりするものを、全て刺激としてとらえるといわれます。一日が終わって家に帰ると、もうクタクタ…となりやすいんですね。

特に「人間関係」は強い刺激だといわれています。

私も、新卒で入った職場にいるころは毎日クタクタになっていました。仕事ってそんなものだと思っていましたが、日々変わる利用者の方々の様子や激情的な上司は、ものすごい刺激だったんですね。それについてはHSPかどうか関係なくだと思います。ただ、HSPはその度合いが強いということです。

また、寒さや空腹に気持ちが左右されたり、気圧や天気の影響を受けたりしやすいです。何だかいつも以上にネガティブ思考だな、と思ったらご飯を食べれば収まったり、陽の光が射したらちょっと気持ちが明るくなったり、ということも多いです。低気圧が近付くと頭痛がする、という方もいますよね。

 

E(Empathy and emotional responsiveness:共感しやすく、人の気持ちに振り回されやすい)

「E」は「共感力の高さ」で、「Empathy and emotional responsiveness」の頭文字です。

HSPは相手の心情を考えてしまうので、相手に振り回されやすくなります。

私の場合、意見を求められても言葉に詰まってしまいます。相手がどう受け取るか、傷付かないか、誤解されないかを気にして、相手にとっての正解を考えてしまうからです。

また足音など、些細なことで相手の気持ちを察してしまうので、「機嫌が悪いから後にした方がいいかな」などと考えてしまいます。仕事では報・連・相が遅れがちです。

機嫌の悪い人がいると、自分のせいで機嫌が悪いのかと感じてしまいます。落ち込んでいる人をみると、何とかしてあげないとと思います。結果、空回ったり、余計な仕事を抱えやすいです。

共感力の高さは人間関係だけでなく、動物や無機物に対しても発揮されます。HSPが「子どもや動物の言いたいことが何となくわかる」といわれるのは、共感力の高さによるものです。

 

S(Sensitivity to subtleties:あらゆる感覚がするどい)

「S」は「感覚の敏感さ」を意味します。「Sensitivity to subtleties」の頭文字です。

私たちHSPは五感が敏感で、大きな音や強い光、においなどが苦手です。触覚が敏感で、肌触りの良い服しか着られないという方もいるでしょう。

私の場合、視覚でいうと蛍光灯の光が苦手です。ホームセンターや家電量販店、ドラッグストアの店内がとにかく白く、眩しい。ノートやパソコンのword、webページでも同じことがいえます。聴覚でいうと車の走る音や雑多な話し声が苦手なので、一人で出かける時にはイヤホンが手放せません。音の大きさ、というよりはトーンで相手の気持ちを察してしまうところもあります。

この「S」については、HSPのセルフチェックを行うときに「当てはまるかな?」と悩む人が多いのではないでしょうか。私は悩みました。そもそも先天的な気質なので、自分にとっては「敏感」ではなく「当たり前」だからです。

ただし、これは五感全てが特別に敏感という意味ではありません。人によって敏感さの程度は異なりますし、どの刺激に対して敏感になりやすいかも違います。

 

HSPが抱きやすい悩み

HSPは5人に1人、人口の15~20%の割合なので、全体から見ると少数派です。

少数派ゆえに「生きにくさ」を感じやすく、傾向にも共通点があります。

共通点は多々ありますが、2つほど例を挙げてみます。

「気持ちを理解してもらえない」と感じやすい

HSPは「なぜわかってくれないんだろう」、「誰も私のことなんてわかってくれないんだ」と感じやすいです。裏を返せば「なぜ皆はこう思わないのか」という気持ちですね。

 

HSPは刺激に対して敏感なので、ちょっとした変化にも気付きやすいです。足音や声のトーン、その人が立てる物音から、相手の機嫌がわかってしまいます。HSPの人口比からいえば、8割の人が気付かないようなことにも気付いてしまうのです。

問題は、先天的な感覚なので「『8割の人が気付けない』ことに気付いていない」こと。「皆もわかっているはずなのに、自分だけがこう考えている。だれも私の気持ちを理解してくれない」と感じてしまうのです。

対処としては、そもそも自分の方が少数派であると気付くこと。8割近い人にとっては、文字通り「気付かない」し「気にならない」だけのことなのだ、と理解することです。

 

自己肯定感が低くなりがち

その人の生活環境や生育歴も深く関わってきますが、HSPは自己肯定感が低くなりがちです。自己肯定感とは、「苦手やマイナスな部分があっても、そのままの自分で良いと思える感覚」のこと。

HSPは刺激への感受性や共感力の高さから、他の人が気付かないことにも気付きやすいです。一見するとプラスに感じるかもしれませんが、気付くことが多いからといって、それに対処できるとは限りません。気付くことの多さゆえに、対処しきれない自分の無力さを感じることも少なくないのです。また思考処理の深さから、「こうなったのは自分のせいだ」という穿った考えに陥りがちです。かつ刺激に敏感で疲れやすいため、パフォーマンスも下がります。「気付き→対処できない→自己否定→パフォーマンスの低下→さらなる自己否定」の流れに陥りやすいのです。

自己肯定感という言葉を聞きなれていない人は、「自分の考えが正しいと思うこと」や「プライドの高さ」だと捉えがちですが、むしろ逆です。「プライドの高さ」は、否定されたり傷ついたりすることへの恐れから生じます。つまりプライドの高い人とは自己肯定感の低い人ともいえるのです。

 

まとめ

HSPについてまとめると、以下のようになります。

 

・先天的で変えられない気質環境調整が重要。

・「DOES」という4つの特徴をもつ。

・内向的なHSP、外向的なHSE、刺激を追求するHSS型HSP(あるいはHSE)の4タイプ。

・5人に1人の少数派

・少数派なので周囲から理解されにくく、「生きにくさ」を感じやすい。

 

私たちHSPが「生きにくさ」を感じるのは、「HSPだから」ではありません。

HSPであることによって、「周囲の理解を得られない」ことで「生きにくさ」を感じるのです。

私たちの抱える「生きにくさ」は、決して「甘え」や「気持ちの問題」ではありません。

HSPについて知ることで、あなたや周りの人たちが少しでも生きやすくなりますように。

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