「こんなはずじゃなかったのに…」。
仕事や恋愛、「こんなはずじゃなかった」と感じる場面は、様々ありますよね。
「自分は冷静だ」と思っていても、実際に冷静に物事を考えられる人は少ないもの。
人間にはバイアスと呼ばれる、認知の偏りがあるからです。
そこで今回は『科学的な適職』で紹介された、選択に役立つテクニックを2点お伝えしていきます。
「プレモータム」
プレモータムとは、選択が「完全な失敗」に終わった場面を想像して、原因と解決策を明らかにするバイアス解除テクニックです。
あえて最悪な状態を想像し、その原因や経緯まで深堀りして考えていくことで、「こんなはずじゃなかった」という後悔を未然に防げるようになります。
プレモータムの手順は以下の通り。
<プレモータム>
- あなたの選択が「完全な失敗」に終わった場面を想像する。
- 「失敗」の原因を、思いつくまま紙に書き出す。
- 「失敗」に至るまでの過程を想像する。
- 「失敗」の過程・原因から、具体的な解決策を考える。
例えば「うまい儲け話があるんだけど」と、知人から声をかけられたとしましょう。
信用できない相手ではないし、なんだかメリットが多そう。
自分にとって都合の良い話を聞くと、人は冷静ではいられなくなるものです。
そこでプレモータムを思い出してください。
うまい話には裏がある、お金を騙し取られて家族には見放され、自分が路頭に迷う未来を想像するのです。
そうなった原因は何か?「この人なら大丈夫だろう」と信用して、家族に相談もせずお金を預けたこと。
結果、「もっと良い話がある」と次々に話を持ちかけられ、「これまで費やした分がもったいない」とサンクコストバイアスの沼にはまっていく…。
ではどうすれば「最悪の事態」を防げるか?知人からの話を、自分なりに調べてみる。家族に相談するなどが想像できますね。
大切なのは「即決しない」。重要な選択は、一旦持ち帰ってしっかり考える時間を設けた方が良いでしょう。
「今だけ特別」「すぐに返事がほしい」と急かすやり方は、人間の心理を利用したよくある商法です。
少し話が逸れましたが、「プレモータム」はネガティブな思考を活用して、リスクを最小限に抑えるテクニック。
ネガティブ思考や心配性にコンプレックスを抱いている人にこそ、意識して活用してもらいたいですね。
10/10/10テスト
10/10/10テストは、長期的な視点で物事を考えたいときに役立つテクニックです。
活用すれば、人間が苦手な「未来予測」の精度を高められます。
選択するときに大切なのは、「選択した瞬間」ではなく、「選択した後の人生」ですよね。
人間はそもそも、未来を予測できるように作られていません。
「このまま今の仕事を続けたらどうなるか」「この仕事を選んだらどうなるか」など、将来を予測するのは苦手なのです。
10/10/10テストの手順は以下の通り。
<10/10/10テスト>
- 選択した場合の、10分後の自分を想像する。
- 選択した場合の、10ヵ月後の自分を想像する。
- 選択した場合の、10年後の自分を想像する。
「近い未来」「少し先の未来」「遠い先の未来」と順番にイメージすることで、予測の精度が高くなります。
「ちょっと予算オーバーだけど、家賃の高い家に引っ越しても大丈夫かな」
10分後の自分→「引越し先が決まって安心しているだろう。引っ越しの段取りも進めないとな」
10ヵ月後の自分→「オーバーした分の家賃で家計が圧迫されているかも」
10年後の自分→「家賃を支払うのが厳しくて、引っ越しているかもしれない」
逆に「昇給ペースを考えれば大丈夫だろう」となる場合もあるかもしれません。
大切なのは「長期的な視点で考える」という点です。
余裕がない人ほど目先のことにとらわれて、結果的に余計な労力や出費が増える傾向にあります。
10/10/10テストを活用すれば、長期的な視点で物事を考える習慣を身につけられるでしょう。
まとめ
「プレモータム」と「10/10/10テスト」、選択に役立つ2つのテクニックを紹介しました。
<プレモータム>
- 選択が「完全な失敗」に終わった場面を想像し、解決策を考える。
- ネガティブ思考の有効活用。
<10/10/10テスト>
- 10分後・10ヵ月後・10年後の自分を想像し、未来予測の精度を高める。
- 長期的な思考が身につく。
大切なのは「冷静に」「長期的な視点で」物事を考え、選択することです。
ネガティブ思考や心配性も「リスク回避の才能」ととらえて、有効に活用していきましょう。
今回の2つのテクニックは、『科学的な適職』で紹介されていたテクニックです。
『科学的な適職』 著:鈴木祐
「悪い労働環境が健康に与えるリスク」や「幸福度の高い仕事選びのコツ」などを学べる一冊。
「Amazon Kindle Unlimited」の読み放題対象書籍なので、利用している方はお得に読めます。
まだ読んでいなければ、ぜひ読んでみてください。
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