先日、「HSCは嫌なことも我慢してしまう子だから、断れるならHSCじゃないですよね?」というネットの書き込みを見ました。
「HSCはこういう子」と、具体的な特徴を理解するのは大切です。
しかしHSCの理解で大切な点を、この書き込みをした方は見落としていると感じます。
そこで今回は「HSC」ついて考えていきましょう。
ちょうど参考になる本も読んだので、合わせて紹介します。
「HSC」とは
「HSC」とは「Highly Sensitive Child」の略です。
「敏感で繊細な子ども」といえば理解しやすいでしょう。
HSCはHSP気質をもつ子どもで、大人なら「HSP(Highly Sensitive Person)」、子どもなら「HSC」。
HSPについては過去の記事も合わせてお読みいただけると嬉しいです。
HSC・HSPは気質であり、病気・障がいではありません。
そのため、それ自体は病院で診断されたり、治療されるものではないのです。
実生活ではあくまでも「傾向」としての話。
得意・不得意や思考傾向が「こうなりやすい」ととらえると良いでしょう。
HSC・HSP気質の特徴は4つ。
「DOES」とよばれる上記の特徴を持つのがHSC・HSPですが、この特徴の強さは人それぞれです。
感覚過敏が特に強い人もいれば、それぞれの特徴が満遍なく強い人もいます。
大切なのは、HSCはあくまでも「その子を構成する要素の1つ」に過ぎない点です。
以下に、HSCの理解や具体的な対応について役立つ本を紹介します。
○『HSCの子育てハッピーアドバイス HSC=ひといちばい敏感な子』 著:明橋大二
子育てカウンセラー・心療内科医の明橋大二氏の著書です。
特に幼児期~学童期の様子について、具体的なイメージを持ちながら学べます。
HSCの子をもつ親だけでなく、大人のHSPが読んでも「あるある!」と共感しながら読めるので、自己理解が深まりおすすめです。
HSCは「良い子」になりやすい?
HSCは「良い子」になりやすい、という情報はよく耳にします。
「良い子」とは「大人の手をわずらわせない」という意味。
裏を返せば、言いたいことを我慢して「子どもらしく振る舞えない」ともいえます。
HSP気質がある私自身の経験も踏まえ、「良い子」になりやすい理由を挙げると下記の通り。
→人付き合いでの刺激を避けるために、自分が我慢する。
→嫌なことも自ら引き受ける、断れない。
HSCにとってはあくまでも「我慢している」状態、というか「そもそも我慢している自覚がない」点は、親や周囲の大人に気を付けてほしいです。
むしろ子どもらしく振る舞えないHSCだからこそ、心の奥底では「甘えたい」という願望を持っています。
「甘え」は悪いことではありません。幼少期に「甘え」をどれだけ満たされたかは、自己肯定感や自己受容の形成に重要な役割を果たします。
だからこそ自分の子どもが「HSCかも」と感じたら、たまに見せる「甘え」をしっかり満たしてあげてください。
「HSCだからできない」?
「HSCは嫌なことも我慢してしまう子だから、断れるならHSCじゃない」。
冒頭で挙げた書き込みですが、半分正解、半分不正解といえますよね。
HSCは確かに、他人の感情に振り回されたり考え込んだりしやすいので「嫌なことは断れない」場合が多いです。
しかしそれはあくまでも傾向であり、「そうなりやすい」だけ。
「断れるならHSCじゃない」とはなりません。
さらに「HSS型」とよばれる「刺激を求めるタイプ」は、一般的なHSC・HSPのイメージとは正反対な存在です。
また典型的なHSPは内向的ですが、生育過程で外向的な側面が育った「HSE」も存在します。
そのためなおさら、HSCはあくまでもその子の「一部」「一面」に過ぎないことを忘れないでください。
「嫌なことを断れるかどうか」は、HSCであること以上に生育環境の影響が大きいでしょう。
経験を通して「断っても大丈夫なんだ」と実感できていれば断れるかもしれませんし、「もうムリ!限界!」と思えばHSCだって爆発します。
むしろ溜め込んでしまう分、爆発したときの対応は非HSCよりも手を焼くかもしれません。
HSCでも非HSCでも、大切なのは「気持ちを理解しよう」とすること。
決して頭ごなしに否定しないでください。
断れないなら断れない理由、感情が爆発したらなぜ爆発してしまったのか。
「なぜそうしたのか」、必ず理由があります。本人がうまく説明できなくても、素直に気持ちを吐き出せるように努めましょう。
「自分の気持ちを出して良いんだ」と思える安心感は、一生の宝物になります。
そして「やってはダメなこと」以上に、「次はこうしたら良いよね」と次につなげる考え方が大切です。
まとめ
HSCについてはHSP同様、少しずつ世間の認知が広がっている最中です。
わからないことが多いと「HSCって何?大丈夫なの?」と心配になると思います。
私が見かけた書き込みをしたのも、親か友達か…いずれにせよ、不安・心配な気持ちから出たものかもしれません。
大切なのは「その子全体をみる」という考え方です。
HSCはあくまで一部。要素の1つに過ぎません。
正しい知識・理解をもって、わからない人にはあなた自身が「この子はこういう子なんだよ」と、知識を広めてあげましょう。
今回紹介した書籍や、下記のサイトをぜひご活用ください。
○『HSCの子育てハッピーアドバイス HSC=ひといちばい敏感な子』 著:明橋大二
○HSPアドバイザーRyotaさんの運営するメディア『ココヨワ』
RyotaさんはYoutubeやスタンドエフエム、メルマガなど、様々な媒体を通してHSPに関する情報を発信していらっしゃいます。
自身もHSS型HSEであり、実体験と行動心理学を基にした具体的な情報は、生活に大変役立ちますよ。
あなたも「HSC」という言葉・概念にまどわされず、その子自身をしっかり見つめてあげてくださいね。
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